<アーカイブへ>「男勝り」「女々しい」「男らしく」。日常会話で何気なく飛び出す言葉。使う側に悪意がないにしても、ジェンダー論から言えば明らかな差別用語である。日本ではことし、生物学的な性差ではなく、社会的、文化的な文脈から性差を問うジェンダー論にさらされる事件が相次いだ。
STAP細胞を発見したと発表し一躍「時の人」となった後、不正疑惑が持ち上がり論文撤回に追い込まれた小保方晴子さん。彼女が「才色兼備」の女性でなければ、あれほどの騒ぎになっていただろうか。東京都議会では、妊娠・出産への支援を訴えた女性都議に対し「自分が早く結婚すればいい」「産めないのか」という男性都議のヤジが飛び、犯人捜しが始まった。 当初は強く否定していた自民党の鈴木章浩議員がヤジを認め、女性都議に深々と頭を下げ謝った。しかし「産めないのか」発言の主はほおかむりを決め込み、幕引きとなる。週刊誌やテレビのワイドショーはヤジを非難する一方で、女性都議がグラビアモデルだったことやテレビ出演していた過去をスキャンダラスに暴いた。被害者はいつのまにか加害者に仕立て上げられる。これが「正義の味方」のいつものやり方。 オット、ここで安倍チャンにも登場願おう。秋の内閣改造では、女性閣僚を過去最多に並ぶ5人に増やし、成長戦略として女性の活躍推進を売り物にした。安倍政権に批判的な「朝日」(9月8日付)の世論調査では、女性閣僚登用が評価され、集団的自衛権の行使容認で42%に落ち込んだ支持率が47%に回復したという。信じらんなーい。 女性の活躍に異議はない。しかし成長戦略のために女性を利用するという発想は本末転倒ではないか。政治部の記者によると、安倍チャンに忠誠を誓う自民党の若手議員の間では「ジェンダー」という用語が否定的隠語として使われている。例えば「あの大臣はジェンダーだから」と言えば「リベラルに近く、われわれとは考えが違う」という意味だそうだ。永田町(国会)の骨の髄まで染みこんだ男優位の論理を崩すのは簡単ではない。 かくいうオットットも例外ではない。朝、急ぎ足で駅に向かう途中、近くの大学に向かう学生たちの群れとすれ違う。片手でスマホの画面を操作しながら歩いてくる女子学生が視界に入った。近付くと、彼女は空いた片手でタバコをスパスパ。東京では最近、歩きタバコはめっきり減った。それでも歩きタバコをする大半は男。そんな中で女性の歩きタバコは稀少だ。反射的に浮かんだ意識が「オンナのくせに…」。オトコならいいのか。私の中に潜む差別意識。
0 コメント
返信を残す |