<アーカイブへ>この夏「サザンオールスターズ」のライブが5年ぶりに復活、2日間で約7万人が駆けつけた。「新曲『ピースとハイライト』の演奏の際に後ろの大画面で在特会の新大久保ヘイトスピーチデモとしばき隊が戦う映像が映されていて『時代』を感じたな」。ライブを観たというあるファンの投稿だ。このツイートの意味分かるかな。「聞いたことある」と手を挙げたそこの人、じゃあ「ヘイトスピーチ」「在特会」「しばき隊」ってナーンだ?
そう、東京最大のコリアタウン「新大久保」で毎週末「殺せ、殺せ、朝鮮人」などのシュプレヒコールをあげながらデモをするグループ。その中心が「在特会」で、「在日特権を許さない市民の会」の略称。この問題を国会で取り上げてきた参院議員の有田芳生氏は「彼らは在日韓国・朝鮮人が『在日特権』で不当な利益を得ていると主張します。例えば、マスコミに優先就職できるとか、水道料金は無料など、根も葉もない話ばかりです」。 もうひとつの「レイシストしばき隊」は、ヘイトスピーチに反対するグループの名称だ。 デモの様子を見てみよう。旭日旗の間から「良い韓国人も、悪い韓国人も、どちらも殺せ」と書いたプラカード(写真)を掲げたマスクの若者。「朝鮮人、首吊レ、毒飲メ、飛ビ降リロ」。吐き気を催すような暴力的言葉。ヘイトスピーチとは、人種や民族、国籍、性などの属性を差別するため、貶め誹謗中傷する言動のことである。メディアはこれに「憎悪表現」という直訳をあてている。でも「殺人教唆」に近い彼らの言葉からはほど遠い、なんと甘い翻訳だろうか。有田氏は「差別扇動」という翻訳を独自に使っている。 彼らはなぜこれほど差別に血道をあげるのだろう。「2チャンネル」の常連「ネトウヨ」(ネット右翼)の若者も、これでもかこれでもかとばかり差別的な言葉をはき出し続ける。日本は、集団として一体性と同質を求める社会だ。方向を決定するのは「論理」ではなく「空気」。同質幻想から少しでもはみ出す要素は、異質なものとして排除する。 デモ参加者は、非正規労働者など社会的には弱い立場の若者が多い。普段はおとなしい彼らだが、デモになると「愛国」のかみしも(大義名分)を着けられる。自分たちよりさらに弱い立場の人々に罵声を浴びせることで、溜まったうっぷんを晴らすのだ。格差社会が常態化して階級社会化し、「一体と同質」など夢物語になった現実の裏返しの表現ではないか。同時通訳の経験がある友人は、新訳語として「差別罵詈」(サベツバリ)を提案した。略称は「サベバリ」。サザンの新曲「ピースとハイライト」は、差別を批判する内容だ。「サベバリ」の語感は、サザンにふさわしい。(了)
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